活版印刷事例|2022年賀状
大西印刷社のWeb運営室です。このコンテンツでは日々の業務で気づいたことや、取り組みなどを書いていきたいと思います。
今回は、2022年の弊社年賀状の活版印刷の事例を書かせていただきます。
※本記事中に印刷用語が出てきます。現在、用語の解説頁を準備中です。
通常、カラー印刷の場合はシアン(C)マゼンタ(M)イエロー(Y)ブラック(K)の4種類のインキを使用して印刷します。各色大小のドット(網点)が重なり様々な色を表現しますが、弊社の単色活版印刷機ではこの網点を使うことはなく、色の数だけベタ印刷(色の範囲を塗りつぶす)します。
例えば、緑とオレンジの色を印刷する場合は、活版印刷では2種類のインキを使った2色印刷となりますが、通常のカラー印刷ではCMYKの4色で表現します。
黒→金→白の順に印刷していきます
写真左:3色印刷の2色目|金印刷、写真右:3色目|白印刷の準備中(洗浄中)直前に使用したインキの色が僅かに残ってしまうため、普通の洗浄では白が濁ってしまいます。濁りが取れるまで、繰り返し洗浄してもらいました。
今回の使用色は、出来合いのインキでしたので調合の必要はありませんでしたが、弊社で調合をする場合は、インキメーカーが出している配合表を参考に職人さんがヘラを使って色を作ります(結構力仕事で腕が疲れそうです)。使う量が多い場合はインキ販売店などに依頼しています。
大きな紙をはがきサイズに断裁
用紙はL判という大きな紙をはがき大に断裁して印刷します。
L判と聞くと、写真サイズ(89mm×127mm)のことと思われがちですが、印刷のL判は800mm×1100mmというサイズになります。かなり大きい紙です。
1面で印刷するため、紙を小さく断裁してから使うのですが、弊社の断裁機ではL判サイズが大きすぎて入らず、紙問屋さんの方で4切にして入れてもらい、それをはがき大に断裁していきました。さらに、紙を無駄にしないよう、通常は捨てられてしまう『端切れ』もいただき、L判1枚からはがき大50面が取れました。
今回用紙を節約しすぎて余白が小さくなってしまい、印刷が大変だったようです。くわえ(=給紙するのに必要な余白 約1cm)もぎりぎりでトンボも出せませんでした。すみません……(詳細はまた後日、解説させていただきます)。
オペレーターさんお疲れ様でした。
写真は2色目の金の印刷位置を調整していたところです。ズレてますね。
弊社のオペレーターも長年経験を積んでいますが、位置合わせ時や色のノリが安定するまでに必ずヤレが出ます。少しでも多く材料を揃えつつ、その腕に甘えさせてもらい無駄にしない工夫もしています。ヤレ紙や残インキはリサイクル業者さんへ回収してもらっています。
ヤレ:損紙のこと(『破れ』たら紙は使用できないことから ヤブレ→ヤレ が語源という説があります)
写真の奥、白っぽく積もっているのはインキ移り防止のパウダーです。印刷中、インキが乾かないうちに重なっていくので、紙の全面にふりかけてます(植物由来:でんぷん 身体に安全な粉です)。掃除していないわけではありません。いつも工場をきれいにしていただきありがとうございます。
写真は完成版です。写真ではわかりにくいかもしれませんが、白印刷の部分は特に印圧を強くして紙を凹ませています。弊社の活版印刷で度々登場するデボス加工です。
また活版事例をupしていきたいと思います。
今回もお読みいただきありがとうございました。